研究概要 |
本研究では,第一原理計算の精度と原子間ポテンシャルの計算効率とを兼ね備えたボンドオーダーポテンシャルを用いて,遷移金属二元系,遷移金属-sp結合元素(Al,Si)二元系状態図を第一原理的に作成する汎用コードの開発をおこなうことが目的である. 現在までに 1.熱振動の効果を精確に求めるFrenkel法を用いたモンテカルロシミュレータの開発 2.Quasi-Harmonic近似,高次統計モーメント法を用いた配置エントロピーの計算プログラムの開発が終了し,旧来の経験ポテンシャルおよび第一原理計算をもちいて,Ti系で計算と実験結果の比較をおこなっている. 得られた知見をまとめると 1.Tiの高温でのbcc安定性を再現することは,単純な経験ポテンシャルでは困難である.しかし,2.fcc系合金の生成エンタルピーの組成依存性は環境依存性を取り入れたポテンシャルが実験結果を良好に再現する. 後者の成功の理由はいまだに判然としておらず,より詳細に原子間の相互作用を第一原理計算結果と比較する必要がある. さらに現在,より汎用性のある状態図作成プログラム開発へ向けて,すでに開発したコードを発展させて,格子模型に基づいたグランドカノニカルモンテカルロシミュレーターを開発している.
|