研究概要 |
半導体ウエハー製造中の転位の制御は,ウエハーの大口径化に伴い,一層重要な課題となって来ている.このような中で,従来のX線トポグラフや電顕観察法に加え,赤外光弾性により内部応力場を通してその分布,さらには内部歪みの大きさを簡便に観測できる手法確立の意義は,ウエハー内部の歪みに関与した種々の問題解決に極めて重要な役割を果たすことが期待される.本研究では赤外偏光を用いた光弾性法を応用し,半導体結晶中で格子欠陥導入に伴う内部応力変化をその場観察する装置を作成し,半導体物性に顕著な影響を及ぼす転位を中心とした格子欠陥の役割について新たな解析手法を確立することを目的とする.現在赤外偏光顕微鏡上で半導体結晶中の内部応力状態を光弾性その場観察する装置を作成し,シリコンウエハー上に付加したビッカース圧痕に伴う塑性変形領域の形成,さらに焼鈍過程に伴うそれらの回復過程について,直交ニコル状態で,その内部応力を直接可視化し,変化を追跡している.また,これと並行して超高圧電子顕微鏡法を用いて,シリコン薄膜中のクラック先端に導入された転位について詳細に観察を行い,転位によるクラック先端応力遮蔽効果について解析を行った.これらを踏まえ,クラックと転位の内部応力場について,赤外線光弾性法により直接可視化し,その定量的解析を行って行く予定である.
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