研究課題/領域番号 |
11555163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮山 勝 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20134497)
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研究分担者 |
平谷 正彦 日立製作所, 中央研究所, 主任研究員
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 強誘電性 / 半導体 / ビスマス層状構造酸化物 / 交代層構造 / 格子欠陥制御 / 残留分極 / 強誘電性相転移 |
研究概要 |
強誘電体メモリー用材料として注目を集めているビスマス層状構造強誘電体を対象として、2種類の異なるペロブスカイト層からなる交代層構造をもつ強誘電体の設計と、強誘電性・導電性という異種物性が同時に発現する層状構造体の実現を目指して研究を行った。まず単一のペロブスカイト層をもつビスマス層状構造強誘電体において、不定比性、微量添加物が結晶構造と強誘電物性に及ぼす影響を単結晶および多結晶体を用いて調べた。不定比性により強誘電相転移温度が変化し、原子位置変位の大きさも変わることを明らかにした。さらに、ビスマス欠損と、チタンのバナジウム置換を行ったチタン酸ビスマス多結晶体では、単結晶に匹敵する大きな残留分極値が得られた。これより酸素欠陥量を減少させると分極反転が容易になることが示唆された。次に交代層構造の生じる結晶学的条件および交代層構造による強誘電性の変化を調べた。交代層構造には2種のペロブスカイト層での格子サイズのマッチングが必要なこと、および交代層構造により残留分極が2つの単層体のものより大きな値が生じることが分かった。これは異種層の積層による格子歪みの増大とビスマス層での原子変位が生じたことが原因と考えられる。一方、ペロブスカイト層を導電性とする試みを行い、マンガンイオンを固溶させると添加量とともにp型導電性が増大することを見出した。この導電性ペロブスカイト層と強誘電ペロブスカイト層からなる交代層構造は、不純物相を含むものの合成可能であることを確認した。以上より、ビスマス層状構造強誘電体において分極特性の著しい向上が達成され、また交代層構造の形成と異種物性の融合について設計指針が確立された。
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