研究概要 |
(1)リチウムバッテリーに用いられる過塩素酸リチウム等とその溶媒、及び多価イソシアネートを用いてマイクロカプセルを作成し、その電気伝導度からの充填率推定,粒径、DSCによるTg測定を行った。 A:壁材としてD110Nを用い、水相にPVAを保護コロイドとして乳化・反応を行った場合、 1)過塩素酸リチウムを用いた場合は充填率は50〜60%の充填率であり、溶媒依存性は弱く 2)リチウムトリフレートを用いた場合は、最高充填率は78%と高くなることが分かった。 B:壁材イソシアネート末端にPEOモノメチル体をグラフトしたイソシアネートを用いた場合、 1)このような系でも水相に保護コロイドを用いずに乳化ができ、サブミクロン領域(0.1μm台)のカプセルが可能であること、 2)過塩素酸リチウムを用いた場合は、充填率は30〜40%であるが、 3)リチウムトリフレートを用いた場合は、充填率が70%台にまで改良されること、が分かった。またカプセルを遠心分離し凍結乾燥したサンプルのDSC測定結果より、芯物質により壁膜Tgが10〜20℃低下することが分かり、これらの物質が壁膜に一部取り込まれていることが示唆された。 以上の結果より、壁膜中でもLiは解離していることが期待され、従って、マイクロカプセルが一つの固体電解質リザーバーとして機能しうることも期待される。 (2)マイクロカプセルの膜厚制御のための基礎となる光散乱データの蓄積、膨潤の効果に対する考察を行った。 (3)分散液の誘電緩和,DSC測定から,ミセル周囲の水の誘電緩和強度はバルクな水より小さく,水構造の違いを意味していると考えられる。マイクロカプセル分散液でも同様であり,壁膜表面の水和構造を考えるためのより詳細な実験的知見が必要である。
|