研究概要 |
QFPなどリードフレームを有する半導体パッケージはんだ接合部においては,接合部は最高温度に到達した後もしばらくの間変形を続けるため,ひずみ制御と荷重制御の混合形態の疲労となるものと考えられる.したがって,QFPはんだ接合部など実際の接合部の熱疲労寿命におよぼす保持時間の影響が,はんだバルク体の等温疲労挙動と対応するのか否かを確認する必要がある. 以上の背景から,本研究では,LSIパッケージとして広く用いられているQFPパッケージを選択し,QFP/Sn-3.5Ag-X(X=Bi,Cu)はんだ接合体の熱疲労損傷に及ぼす保持時間の影響を調査した. 得られた結果は以下の通りである. (1)保持時間が短い場合,Sn-3.5Agはんだ接合体が最も優れた熱疲労特性を示す.Biの添加は接合体の熱疲労特性を著しく損う.(2)どのはんだ接合体においても,保持時間が長くなると熱疲労寿命は低下するが,影響の度合はいずれのはんだ接合部においても等しい.(3)保持時間の増加に伴う熱疲労寿命の低下は,保持中に生じるクリープひずみの増加に起因する.(4)高温保持による接合強度の低下の度合はどのはんだでもほぼ等しい.これは各合金の保持温度近傍におけるクリープ強度に大差がないことに起因する.(5)本研究で用いた試験条件内で,Biの添加はSn-3.5Agはんだ接合体の熱疲労特性改善に寄与しない.(6)Sn-Ag系はんだ合金接合体の熱疲労特性を正しく評価するには,ピーク温度で30min以上保持する必要がある.
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