研究概要 |
様々な形態を有する合金を作製するには精密鋳造法が適しているが,この方法で作製したFe-Pt系合金の鋳造材には鋳造欠陥が含まれ,磁気特性は不安定であった。代表者等は,少量の添加物を含む合金の鋳造性,磁気特性を探求し,NbとSiを少量含む合金が優れている事を見出し,今回,Si量は0.1%以下が望ましい事を確認した。磁気特性は今年度購入の振動試料型磁力計によって測定し,また,耐食性は永久磁石および磁性ステンレス鋼単体ならびにそれらを電気的に接続した状態における溶出試験と電気化学的性質を測定して評価した。なお,この合金系の円板状試料は磁性ステンレス鋼に対して平均500gf,最大約710gfの吸引力を示し,この値は補綴学的に応用可能であることを示している。ここで,本系合金の応用性を検討するため,着磁方向と方法,キーパーならびにヨーク材の形態と寸法を磁場解析プログラムを用いて解析中である。現在は,円板状試料を想定して寸法比,着磁法等を変化させ,漏洩磁場の低減を目指している。キーパー材あるいは保護材にステンレス鋼等の異種金属を使用することは耐食性に関して不利となるため,本系合金のみからなる構造体が実現することは,非常に望ましい。そこで,次年度の課題として本系合金の組織と相状態を詳細に探求する。最終的には,生体適合性に優れ,歯科は基より,医療用インプラントへの応用可能な,高機能性磁石構造体の開発を目指す。
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