研究分担者 |
北條 正樹 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70252492)
鷲津 正夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10201162)
小寺 秀俊 京都大学, 工学研究科, 教授 (20252471)
遠藤 政治 住友特殊金属(株), ネオマックス事業部, 技術部長
沖本 邦郎 摂南大学, 工学部, 教授 (30268487)
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研究概要 |
環境への負荷軽減という重要な社会的要請から,高機能の磁気デバイスすなわち永久磁石望まれている.磁石は多くの場合異方性磁性粉末を磁場中成形して作られる.磁石の機能は,磁場中成形において磁化容易軸がどのような方向に配向するかによって決る.ところがこの配向を予測・決定するための方法論が存在せず,現場技術者の経験に依存しているのが現状である.以下のことを目的として本研究課題に取り組んだ. 1.代表者らが展開した磁気・コセラ連続体理論を実際のプロセス設計に適用できるシミュレーション手法として完成する. 2.粒子モデルによるシミュレーションも併せ実施する.対象とする奇土類磁性粉末(Nd-Fe-B系)の特徴を表し得る粒子モデルを開発し,磁場中成形シミュレーション結果と実験との比較・検討を行う. 3.磁場印加の様式(方向,強さ,時間,磁場を印加するときの粉末の密度)を種々変えて磁場中成形を行い,得られる磁石の磁気強度および配向を調べる. 得られた主な成果は以下のとおりである. 1.磁気コセラ連続体理論におけるパラメーターを同定すると同時に,磁場中成形解析プログラムに,磁化された粒子によって作られる磁場をモデル化し組み込んだプログラムを開発して解析を行った.その結果外部磁場を印加しているときは,磁化された磁性粒子による磁場の影響はほとんど無く,磁性粒子が磁化された状態で外部磁場を0に設定したとき,粒子による磁場の影響が顕著に観察された.平均密度比0.4までの圧縮後の密度比分布は粉末上部で密度比が高く,下部で密度比が低くなり,実験結果と定性的に一致した. 2.磁化容易軸の配向角については,磁場印加後に圧縮を行ったとき,初期状態で密度比を均一として解析を行った場合には,配向角はほとんど変化しなかったのに対し,初期状態で密度比分布を与えたときは配向が悪くなるという結果が得られた.これは実験結果と一致している. 3.可視化実験の結果,初期密度比が0.3のとき粉末挙動はほぼ連続的であり,磁場を印加した場合は,磁場を印加しない場合に比べて,キャビティー下部に近い粉末まで移動することがわかった. 4.圧縮後(ρ=0.4)においては,磁場の印加した場合のほうが,磁場無しの場合に比べ上部での圧縮率が高い. 今後の課題として,次の点がある. 目標としていた3次元的な解析については課題が残った.3次元の解析シミュレーションが可能になると,実際への応用が可能となると考える.
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