研究概要 |
オキシナイトライドガラス及びオキシカーバイドガラスの開発に関する基礎的研究として、本年度はY_2O_3-Al_2O_3-SiO_2系酸化物ガラスの融体中への窒素及び炭素の溶解度をSi_3N_4及びSiCをそれぞれ窒素及び炭素源として測定した。また、作製したオキシナイトライドガラス及びオキシカーバイドガラスの硬度の測定を行った。 本実験条件(1550℃,Po_2=10^<-10>〜10^<-12>)では、窒素含有量は測定した全ての組成において約9時間の保持で飽和に達しており、最大で2〜2.3mass%の窒素が溶解することが明らかになった。炭素の溶解度は保持時間依存性は示さず、炭素含有量は窒素と比較して二桁程度低い数十ppm〜数百ppmであった。また、窒素及び炭素の溶解度はY_2O_3量の増加及びSiO_2/Al_2O_3比の減少により増加する傾向にあった。これはY_2O_3が融体中でNetwork Modifierとして働き、ガラス融液の網目構造が切断されることにより非架橋酸素が増加するためであると推定した。 ビッカース硬度は、窒素及び炭素含有量の増加に伴い直線的に増加ており、含有量が少ない炭素の方が効果的に硬度を増加させていた。酸化物融体中に導入された窒素及び炭素は、Si-N及びSi-C結合を形成しガラス融液の網目構造を強化するため、急冷して得られたガラスの化学結合も強化されて硬度が増加したものと推定した。また、窒素は3配位であるのに対して炭素は4配位であるため僅かな量の炭素でもガラスのネットワークが緻密化され,より構造が強化されるため窒素よりも炭素の方が効果的に硬度を増加させたもの推定した。
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