非経験的分子軌道法による気相ダイオキシン類の熱力学的研究及びその反応ダイナミクス

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11555195
• 研究機関: 早稲田大学
• 研究代表者: 不破 章雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60139508)
• 研究分担者: 石崎 貴裕 日本学術振興会, 特別研究員
• キーワード: ad initio molecular orbital method / thermodynamic equilibrium calculation / dioxins / sulfur dioxide / inhibitors / heterogeneous reaction

研究概要

1 非経験的分子軌道法による飛灰上での前駆物質の塩化反応に対する触媒効果解析
非経験的分子軌道法を用いて、飛灰上でのポリ塩化ジベンゾダイオキシンの前駆物質であるフェノールの塩化反応解析を試みた。飛灰表面はその主成分であるシリカを母体とし、その反応サイトに触媒である銅あるいは鉄原子を置いた金属酸化物担体クラスターで表現した。銅及び鉄を触媒としたフェノールの塩化反応のみかけの活性化エネルギーを算定・比較した結果、銅の方が鉄よりも大きい触媒効果を有することが示された。この結果は、実験報告と一致するものである。
2 ダイオキシン類の生成・分解挙動に対するSO2(g)添加効果の熱力学的考察
ダイオキシン類の生成・分解挙動に対するSO2(g)のインヒビタ効果の熱力学的解釈を試みた。平衡計算に用いるダイオキシン類の熱力学パラメータは、本課題初年度において算定したものを用いた。高温かつSO2(g)添加量が多い条件下では、酸素によるダイオキシン類の完全燃焼分解が起こり、温度に関わらずSO2(g)添加量が少ない条件下では、硫黄によりダイオキシン類の塩化反応が抑制されることが示された。また、これらSO2(g)添加量によるダィオキシン類の挙動の変化は、系に存在する固体炭素の量に依存していることが明らかにされた。

研究成果

• [文献書誌] M.HIROTA et al.: "Catalytic effect of copper on dibenzo-p-dioxin and polychlorinated diberzo-p-dioxin generations using abinitio molecular orbital method"Toxic. Environ. Chem.. 81・3. 133-147 (2001)
• [文献書誌] M.HIROTA, T.ARAKI, A.Fuwa: "Catalytic roles of copper on chlorination of precursor phenol for dioxins using ab initio molecular orbital calulation"Mater. Trans., JIM. 42・12. 2537-2542 (2001)
• [文献書誌] M.HIROTA, S.Asakura, A.Fuwa: "Quantum chemistry analsis on dioxins generation neactions via chlorination of precursor substences"Proc. Fouth Pacific Rim. Int. Conf. on Advarced Materials and Proessing. Vol.2. 2213-2216 (2001)
• [文献書誌] M.HIROTA, A.Fuwa: "The effect of sulfor dloxide addition on dioxins generation and decomposition behaviors from thermodynamics view"The Resources Processing Society of Japan. 49・1(in press). (2002)