研究課題
基盤研究(B)
近年、我が国の大気汚染調査においてVOCs(揮発性有機化合物)ダイオキシンなど低濃度ではあるが化学的にも熱的にも極めて安定で発癌性等の有害性を有する化学物質が検出されており、これらの長期暴露による国民健康への影響が懸念されている。本研究では非平衡プラズマ技術を用いてこれら低濃度難処理有害物質の分解・無害化プロセスを構築し、揮発性有機化合物の効率的な分離・回収を可能とする環境浄化システムの実用化を目的としている。本研究が提案する処理プロセスはVOCsなどの有害成分を大気圧コロナ放電によって生成された活性種の存在雰囲気下に投下することで、CO2、CO、H20などの無害成分と塩素分などの有害成分への分解を促進させる。加えて、有害成分の吸収剤として第3成分を導入することで選択的に有害成分の吸収・除去を行い、最終的には完全無害化を実現するものである。本プロセスの構築のために、有害成分分解に最適なプラズマリアクタの設計ならびにガス吸収用第3成分のリアクタ内への導入法を確立し、分解反応メカニズムの解明を含め揮発性有機化合物完全無害化のための最適操作条件設定を確立する。これまで、本研究では特性の異なる4種の揮発性有機化合物(トルエン・アセトン・ホルムアルデヒド・エタノール)に関して電界分布の異なる3種のリアクタを用いて電解分布が被処理物の分解率に及ぼす影響について実験的検討を行った。本実験結果より、今後のリアクタ改良のための重要な知見が得られた。また、有害物質の分解率に影響を与える印可電圧の大小やリアクタ内に存在する水分、分解触媒などの有無に関する実験結果より、揮発性有機化合物の分解において非平衡プラズマを用いることの有用性と触媒等他因子作用による分解率増加の見込みが確認された。加えて副生成物の解析結果から、被処理物資の本装置における分解メカニズムを特定し、これらの分解には非平衡プラズマより発生したある特定の活性種が大きく関与していることが明らかとなった。従って、最終的にこれら被処理物質はCO、CO2、H2Oのような無害成分に分解されるという見解が得られた。
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