研究課題/領域番号 |
11555200
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東谷 公 京都大学, 工学研究科, 教授 (10039133)
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研究分担者 |
神田 陽一 京都大学, 工学研究科, 助手 (60243044)
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60200200)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 吸着 / 走査型近接場光顕微鏡 / 表面 / 表面間力 / 気泡 / 高分子 |
研究概要 |
原子間力顕微鏡(AFM)は、表面構造と表面間力がin-situに測定できる装置であり、今後の新たな複合装置開発のためのプロトタイプとして重要な存在である。本年度は、1.界面活性剤吸着させることにより作成した疎水性表面間の特異的引力、および2.水溶性高分子を吸着させた表面間に働く相互作用力について、in-situ測定を行いメカニズムを検討した。原子間力顕微鏡(AFM)のプローブ先端に粒子を固定し、溶液中における相互作用力の直接測定をin-situで行った。疎水性表面間において得られた引力は、従来の理論では説明不可能な程強く、遠距離に及ぶものであることがわかった。また、引力の発生点に不連続点が存在するという特異な特徴が確認された。この特徴は、疎水化剤としてシランカップリング剤を用いた際の引力と類似するものであり、引力の発生には系内に微量に存在する気相が重要な影響を与えることが示唆された。また高分子の吸着においては、その溶解条件により、表面への吸着構造及び表面間相互作用が大きく異なることが明らかになった。また極めて希薄な条件では高分子1分子をとらえることに成功し、今後、高分子鎖間の相互作用力が測定できる可能性が示唆された。これらの表面状態の評価の一つとして通常用いられるのが分光分析である。AFMと類似の機構を持つ走査型近接場光顕微鏡(SNOM)などを用いると、in-situ微細分光分析を行うことができる可能性がある。ただしソースが非常に弱くなりS/Nが悪くなるという弱点が予想されるため、まず通常のFTIRでどこまで感度があるのかを検討した。その結果、わずかなコンタミの影響が無視できず、分光分析の光路や試料室を真空化するとか、高純度な光ファイバーを用いるなどの工夫が必要であることが明らかになった。そのため、微細分光分析への応用は今後の装置の改良を待つ必要がある。
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