研究概要 |
先端産業からは,ヒ素化合物,フッ素化合物,重金属化合物などの有害無機物質をはじめとして,最近では内分泌撹乱物質などの微量で有害性を示す物質を含む廃棄物が埋め立て処理されてきており,これらの浸出水による環境汚染が懸念されている。特にフッ素などに関しては,1999年より環境基準項目として加えられ,0.8ppmという厳しい値が示された。環境基準とは,河川,湖沼や地下水などの水質に適用されるもので,埋め立て処理場からの浸出水はこれらの水域に流入する可能性がある。このようなことから,埋め立て処理場などにおける有害物質の溶出による環境汚染の防止対策が急がれる。 本研究では,これらの有害物質によって汚染された,土壌や地下水などの浄化に適用するための機能性粘土鉱物を開発し,その利用法について明らかにすることを目的に研究を進めている。現在までに,産業廃棄物の埋め立て処理場の遮断型,管理型,安定型のうちで,管理型に関して調査を進めている。管理型は,水溶性有害物質が判定基準以下であるものや腐敗性のものを処分する施設であり,埋立地全面に遮水性の丈夫な合成ゴムシートを張り,汚染水の地下水汚染を防ぐ構造になっている。 埋め立て処理場内における有害物質の浸出による環境汚染を未然に防ぐための方法の一つとして,まず廃棄物層を覆っている服殿吸着性に注目し,さらにその機能が低い場合にはその機能を補う材料の添加を提案した。このような材料については,資源の有効利用を考えたいわゆるエコマテリアルであることが必要である。現在異なる産業から排出された未利用資源を原料とした機能性材料の開発を進めている。
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