研究課題/領域番号 |
11555206
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 金沢大学 (2001) 東京工業大学 (1999-2000) |
研究代表者 |
大谷 吉生 金沢大学, 工学部, 教授 (10152175)
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研究分担者 |
鈴木 正昭 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114874)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 静電噴霧沈着法 / LiCoO_2 / ハイドロキシアパタイト / 無機薄膜 / Hydroxyapatite |
研究概要 |
本研究は、組成および膜構造の制御されたセラミックス薄膜の製造装置の開発を最終目的とし、静電噴霧沈着法によるLiCoO_2薄膜(リチウムイオン二次電池の正極材料)の合成およびバイオセラミックとして最近注目をされているハイドロキシアパタイトの合成を例に取り、その製膜実験を行った。実験は、LiCoO_2薄膜の場合、プリカーサーとしてリチウムの酢酸塩とコバルトの酢酸塩を用い、印加電圧、液の供給速度、金属ノズルと金属基板の距離および基板温度を変えて行った。ハイドロキシアパタイトについては、プリカーサーとして硝酸カルシウムとリン酸を用いて、操作条件と膜の表面形態の関係について検討を行った。なお、噴霧モードとしては、噴霧状態が安定でかつ均一な膜の合成が可能であるコーンジェットモードを採用した。 LiCoO_2薄膜の合成では、基板温度および噴霧距離を変化させることで、多孔質状、フラクタル状、ひだ状の膜が合成できることを明らかにした。また、これらの膜形態と電気化学特性との関係を明らかにするために、ビーカーセルを用いてリチウムイオン二次電池を作製し充放電サイクル試験を行った。その結果、フラクタル状の膜は、放電容量は低いがサイクル特性は比較的良好であった。ひだ状の膜では、初期の放電容量は理論容量に近い値を示したが、サイクル特性は必ずしも良好ではなかった。 ハイドロキシアパタイト薄膜の合成では、溶液の初期濃度が比較的大きかったため、基板温度、噴霧距離、溶液濃度および噴霧時間の何れを変化させてもフラクタル状の膜が得られた。しかしながら、そのフラクタルを構成している粒子の大きさは、溶液の初期濃度および基板温度に依存した。さらに、結晶性の良いハドロキシアパタイト膜を得るため、合成した薄膜を900℃で2時間焼成したところ、フラクタルを構成している微粒子が粒成長し、結果的には多孔質状の薄膜を合成することができた。
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