研究概要 |
本研究は,種々のメソポーラス体の合成法の開発と新規なメソポーラス系触媒および吸着剤の開発を目指したものである.本年度の成果概要は以下の通りである. 1.水質浄化用触媒・吸着剤を目指して,メソポーラスシリカ(MPS),アルミノシリケート(MPAS),チタノシリケート(MPTS),フェロシリケート(MPFS)のメチレンブルーの吸着,光分解触媒特性を調べた.吸着剤としては,MPFS,MPASが,光触媒としてはMPFSが有望であることを見出した. 2.昨年度に引き続きCuイオン交換メソポーラスアルミノシリケートの吸着特性を調べた.安定に存在するCu(I)の特性を利用することにより,COのみならずエチレン,NOxに対しても良好な吸着特性が発現することを明らかにした.さらに,同様にしてAgイオン交換メソポーラスアルミノシリケートを合成し,Agの存在状態や酸化還元特性,CO,エチレンの吸着特性を明らかにした. 3.メソポーラスシリカのメソ細孔内表面,外表面をSnO_2,TiO_2,ZrO_2でコーティングする手法の開発とその特性評価を行った.金属塩化物やアルコキサイドと表面シラノール基との反応を利用すればコーティングが可能で,その操作の繰り返しとともに修飾量,膜厚が増加すること,SnO_2で修飾すれば耐熱性,耐アルカリ性が大きく向上することを見出した. 4.昨年度開発した加圧過程を経ることなく吸着剤成形体が作製できるアルギン酸ビーズ法についてさらに検討を加えた.成形体の強度やSO_2吸着特性は,バインダーの種類,量,焼成温度に大きく依存し,シリカゾル(焼成後はシリカゲル)をバインダーに用いた場合に実用に耐えうる強度を持ちかつ吸着特性も優れた成形体が作製できることを明らかにした.
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