研究概要 |
本研究は,ファインケミカルズを合成するための反応プロセスを固体酸触媒化するするとともに,精密制御された反応場により選択性の向上を目指すものである。特に,ナノ反応場による選択制制御の化学を確立することが最重要課題である。したがって,「ゼロエミッション」の観点からも,本研究は21世紀の工業に資する試みといえよう。ファインケミカルズ合成のためのDiels-Alder反応やFriedel-Crafts反応では,通常ルイス酸であるAlCl_3,BF_3やZnCl_2などのハロゲン化合物が触媒として用いられている。反応は均一系で行われており,一度使用した触媒は分離廃棄されている。さらに,選択性が低い場合,多量の副生成物も廃棄しなければならない。 本研究の目的は,上述の反応を固体酸触媒化するとともに,固体触媒のナノ空間を利用して選択性を向上させようとするものである。 本年度は各種の方法でAlを添加したMCM-41およびSBA-15触媒を調製し,固体酸特性を明らかにした。また,これらの触媒の細孔径の制御法を開発した。 アントラセンとp-ベンゾキノン,アントラセンと1,4-ナフトキノン,およびシクロペンタジエンとクロトンアルデヒドのDiels-Alder反応,およびベンゼンと塩化t-ブチルのFriedel-Crafts反応を行い,Alの添加法を工夫すれば,Al添加MCM-41はこれらの反応に対して塩化アルミニウムに匹敵する活性を示すことを明らかにした。
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