研究概要 |
本研究では、直鎖状の低温域で不溶状態、高温で可溶状態となる高温溶解型温度刺激応答性高分子を抗消炎作用を有する生体高分子の活性部位近傍に固定化した生体ハイブリットを調製し、その温度刺激による活性制御法を開発することを検討している。平成11年度は高温溶解型温度刺激応答性高分子の開発を行った。具体的内容を以下に記す。 高温溶解型温度刺激応答性高分子の合成 a)Sodium vinylsolfate,methacrylate,methacrylamide等を用いて、tert.-butanol中で共重合させることにより、数10種類のポリマーを合成した。画高分子の温度に対する溶解性の応答を調べた結果、低温域で不溶状態、高温で可溶状態となる数種の高分子を発見した。このうち、Sodium vinylsolfate,methacrylate,およびmethacrylamideによる高分子(SMM)は約30%のメタノール水溶液中で、約40℃以下の条件で完全に不溶状態となった。また、p-styrenesulfonateとglycidyl methacrylamideを用いて合成した高分子(SG)は50%以上のメタノール水溶液中で、約35℃以下の条件で完全に不溶状態となった。 b)SMMおよびSGについて、それぞれ最適重合条件を決定した、また、最適条件で調製した高分子について、分子量、NMR、FT-MS、DSC等の熱分析を行いその特性を検討した。 平成12年度は、抗腫瘍性酵素であるSOD等を酵母、乳酸菌から精製し、調製した酵素に各高温溶解型温度刺激応答性高分子を固定化することを検討する。さらに、温度により活性制御を行わせるための固定化条件を検討する。
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