Pseudoalteromonas sp. A28株が生産する赤潮殺藻物質は、分子量50kDの菌体外セリンプロテアーゼであった。精製プロテアーゼのトリプシン消化物をSDS-PAGEで分離し、6断片についてTOF質量分析でアミノ酸配列を決定した。その配列をもとにタンパク質データベースを検索したところ、Alteromonas sp. O-7株のセリンプロテアーゼIに高い相同性が見い出された。そこで、セリンプロテアーゼIをコードするaprI遺伝子をプローブとしてA28株染色体をサザン解析した結果、2-kd EcoRI断片に強いシグナルが検出された。その2-kd EcoRI断片をクローニングを試み、それに成功した。さらに、取得した2-kb DNA断片のDNA塩基配列を決定し、その配列をコンピュータ解析したところ、5'末端が欠けたORFが見い出された。この部分的ORFがコードする遺伝子産物のアミノ酸配列をもとにblastp解析を行ったところ、O-7株のセリンプロテアーゼIが最も高い相同性を示した。赤潮殺藻プロテアーゼのセリンプロテアーゼIの成熟タンパク質とC末端プロ配列に対応する領域のアミノ酸配列をもとにblastp解析したところ、成熟タンパク質領域はプロテアーゼIに最も高い相同性を示した。また、C末端プロ配列領域は、Alteromonas sp. O-7株のセリンプロテアーゼIとセリンプロテアーゼII及びShewanellasp.Ac10株セリンプロテアーゼ、コレラ菌メタルプロテアーゼのC末端プロ配列と高い相同性を示した。
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