研究概要 |
本研究は、エチレン生成酵素遺伝子を導入した組み換え光合成細菌を用いて、余剰汚泥を高温酸発酵させることにより得た液化余剰汚泥からエチレンを生成させることを目的としている。本年度得られた結果は以下のように要約される。 1.細菌Pseudomonas syringaeのエチレン生成酵素遺伝子を光合成細菌 (Rhodobacter sphaeroides IFO 12203)へE.coliS17を用いて接合伝達により導入した。ベクターとしてPRK415を用い、プロモーターとして、Pseudomonas syringaeのエチレン生成酵素のもの、大腸菌のlacのもの、Synechococcus sp.PCC7942の光化学系IIの水分解に関与するD1タンパク質の遺伝子(psbAI)のもの3つを用い、プラスミドpRKEFE1,pRKEFE2,pRKEFE3を構築した。これらのプラスミドの中で、エチレン生成活性が確認されたものはPseudomonas syringaeのエチレン生成酵素のプロモーターを用いたプラスミドpRKEFE1を持つ株のみであった。 2.余剰汚泥の高温酸発酵はpH6.5に保って、負荷量を種々変えた連続培養で実施し、低級脂肪酸混液を得た。 3.市販低級脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)単独、あるいはそれらの混合液を用い、組み換え光合成細菌を増殖させたところ、エチレン生成が認められ、その最大値として、120nlエチレン/ml/hr/OD610を得た。
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