研究概要 |
蛋白質の相互作用解析を目的とするSPR計測をフィールド用に適用するには,試料の送液にポンプを必としない測定様式の化学センサ化と装置のパームサイズ化を実現することが必要である。これらの目的を達成するために,センサセルという新しい概念に基づいて,光インターフェイス膜を開発してSPR計測の化学センサ化(SPRODE:エスピーロード)を行うと共に,770nmに最大吸収波長をもつ最適発光ダイオードと2つのシリンドリカルレンズによるSPRを効率的に検出するための光学系を用いて,SPR計測のパームサイズ化(PSPR)を行った。 フィールド計測用SPR計測のための化学センサ(エスピーロード)とパームサイズSPRからなる新規化学計測手法に基づくフィールド機器を環境ホルモン類似物2,4ジクロロフェノール(分子量:175)の免疫計測に応用した。その結果,0.1〜30mg/lの濃度範囲でSPRに基づく角度変化と濃度の間には良好な直線関係が得られ,環境汚染低分子有機物に対する新しい計測法(エスピーロード法)の可能性が明らかにされた。検出下限は100ppb程度であり,高感度化を検討中である。現在のところ,固相抽出濃縮で環境ホルモン・ビスフェノールA(分子量:228)に対し,3000倍濃縮で10ppb検出を実現している。
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