研究課題/領域番号 |
11555233
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鶴見 敬章 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70188647)
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研究分担者 |
山下 洋八 株式会社東芝, 研究開発センター, 主任研究員
和田 智志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60240545)
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キーワード | 圧電体 / PZT / ドメイン構造 / 単結晶 / レーザ干渉計 |
研究概要 |
本研究は、ペロブスカイト構造型強誘電体である亜鉛ニオブ酸鉛(Pb(Zn,Nb)O_3)-チタン酸鉛(PbTiO_3)系固溶体単結晶(以下、PZNT単結晶)について、同結晶の示す巨大圧電効果をマイクロアクチュエータ、超音波トランスディウーサに応用するため、巨大電圧効果発生のメカニズムを強誘電性ドメイン構造との関係から解明することを目的とする。本年度は、フラックス法による単結晶の育成、ドメイン構造の解析、電気的特性の測定を行った。酸化鉛をフラックスとして用い溶融、徐冷の条件を精密に制御することで大きさ数mmの単結晶試料を育成することができた。この試料および共同研究者の山下から提供された単結晶ウェハーについて光学顕微鏡を用いてドメイン構造の観察を行った。(001)面でカットした単結晶板には、ランダム、三方晶系110度、三方晶系70度の3種類のドメイン構造が観察された。X線測定の結果では単結晶中には正方晶系の相も存在することが確認されているが、正方晶系に属するドメインは顕微鏡下では均一な部分として観察されなかった。観察された3種類のドメイン構造で、構造が特定できた三方晶系の2つのドメイン構造について均一な部分を切り出し、電気的測定を行った。その結果、誘電率測定では70度ドメインの方が110度ドメインよりも大きな値を示した。また、P-Eヒステリシス曲線は110度ドメインが角型のデジタル的なドメインスイッチングをすることを示していたのに対し、70度ドメインでは角型比が小さくドメインスイッチングが連続的に起こることを示していた。これらの結果はいずれも70度ドメインの方が110度ドメインよりもドメイン構造の物性への寄与が大きいことを示している。ドメイン構造により物性が大きく異なることが明らかとなったので、来年度は圧電効果の測定を行う予定である。
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