Li_<2.6>Co_<0.4>Nは高い容量(900mA/g、黒鉛の2.5倍)で、サイクル性のよい負極材料として最近特に注目されてきている。今年度は、この窒化物を実用電池の負極に適用するべく以下の検討をした。 Li_<2.6>Co_<0.4>Nは当初からLiを含んでいるので高電位正極のLiCoO_2等と直接組み合わせることが出来ない。そのためまず化学的にLi_<2.6>Co_<0.4>NからLiを除去する方法を検討した。その結果、PC溶液中でI_2とLi_<2.6>Co_<0.4>Nを反応させることでLi_<1.6>Co_<0.4>Nを合成することに成功した。さらに、当初からLiを含んでいるという性質を利用して、サイクル性はよいが初期不可逆容量の大きいサブミクロンSnSb_x合金に組み合わせて、不可逆容量の解消と、サイクル性のさらなる向上を図るのに成功した。また。この複合電極を固体高分子リチウム二次電池の負極として有望であると考え、PEOと混合した負極を作成、60℃から80℃の高温ではあるものの、500mAh/gの容量で数十回にのサイクルを示す結果を得るまでに至った。 Li_<2.6>Co_<0.4>Nを化成せずそのまま負極として使用するために、種々の正極剤の検討も行った。Cr_3O_8が非常に優れており、この組み合わせでは現在市販電池の1.5倍以上の容量をだすことが出来た。ただ、Cr_3O_8は六価クロムを含んでおり、これが実用可への障害と考えられるので、さらなる物質の探索が必要である。
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