研究課題/領域番号 |
11555237
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
武田 保雄 三重大学, 工学部, 教授 (60093051)
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研究分担者 |
平野 敦 三重大学, 工学部, 助手 (60324547)
今西 誠之 三重大学, 工学部, 助教授 (20223331)
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キーワード | リチウム窒化物 / スズ系合金 / 複合電極 / リチウム二次電池 / 固体ポリマー電解質 / ポリマーリチウム二次電池 / 一酸化スズ / 一酸化ケイ素 |
研究概要 |
Li_<2.6>Co_<0.4>Nは高い容量(900mA/g、黒鉛の2.5倍)で、サイクル性のよい負極材料として最近特に注目されてきている。昨年度は、この窒化物を実用電池の負極に適用するべくその可能性を検討をした。その結果、以下の実績を得ている。 Li_<2.6>Co_<0.4>Nは当初からLiを含んでいるので高電位正極のLiCoO_2等と直接組み合わせることが出来ない。そのためまず化学的にLi_<2.6>Co_<0.4>NからLiを除去することを試み、PC溶液中でI_2とLi_<2.6>Co_<0.4>Nを反応させることでLi_<1.6>Co_<0.4>Nを合成することに成功した。さらに、当初からLiを含んでいるという性質を利用して、サイクル性はよいが初期不可逆容量の大きいサブミクロンSnSb_x合金に組み合わせて、不可逆容量の解消と、サイクル性のさらなる向上を図るのに成功した。また。この複合電極を固体高分子リチウム二次電池の負極として有望であると考え、PEOと混合した負極を作成、80℃の高温ではあるものの、500mAh/gの容量で数十回にのサイクルを示す結果を得るまでに至った。 今年度は、上記の実績をふまえ、Li_<2.6>Co_<0.4>Nと、SnSb_x合金など大容量を持つが、サイクル性に乏しく、初期不可逆容量の大きい種々の合金との複合化をさらに進めて、安定な大容量負極の開発を遂行した。その結果、SnSb_xばかりでなく、SnOやSiOなどとの複合化も大変有効であることが明らかとなった。その際、使用するSnOやSiOはナノサイズの粒子であることが、その大容量化とサイクル性の向上に必須であることが分かった。SnSb_xやSnOとの組み合わせで600mAh/g、SiOとの組み合わせで、1000mAh/g以上の容量で、数十回のサイクルでも劣化しない電極が得られた。この結果は、有機電解液系における挙動であるが、これを固体高分子系ポリマー電解質に適用するべく、前年度に引き続き検討した。PEO(ポリエチレンオキサイド)にリチウム塩を固溶させた固体高分子電解質にBaTiO_3を添加することでそのリチウムイオン導電性が一桁上昇することを見いだした。この新しく見いだされたポリマーを電解質に、正極をLiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2を使用し、上記複合負極を使用することで、大容量でかつサイクル性がよく、60℃から70℃で作動する固体ポリマーリチウム二次電池が作成できた。今後は、複合電極と電池を作るための合剤など第三成分との相性、電解質のさらなる改良など進めることで、さらに安全でかつ高性能のリチウム二次電池作成が可能となろう。
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