研究概要 |
今年度もLi_<2.6>Co_<0.4>Nとならんで、高容量負極として昔から注目されていた合金系負極を手がけた。微粉のSn,SnSb、酸化物から出発するSnO,SiO等である。ナノスケール化することで、体積膨張効果が表面効果に隠れ、サイクル性の劣化がかなり押さえられることを見出した。たとえば、SnSbで500mAh/gの容量で40回以上のサイクル、SiOなら1000mAh/g以上の容量で30回以上のサイクルが可能となり、合金系負極も実用負極としての道が開けてきたように感じられる。しかし、この系には越えがたい欠点がある。つまり、一回目のLi挿入時に、粒子表面に出来る酸化膜の還元、あるいは酸化物粒子の金属への還元に使われたLiはサイクルに関与できないことになる。そのため、大きな不可逆容量の存在が実用化への大きな障害としてクローズアップされてきた。 その解決策が、Li_<2.6>Co_<0.4>Nと合金系負極の複合化である。これははじめからLiを大量に含んでいる窒化物と、含んでいない合金系のバランスを取ることが可能であったために成功したものである。双方、含有Li量を考慮して混合した複合電極を作成することで、たとえば、初回から100%の効率で、Li_<2.6>Co_<0.4>NとSnSbでは500mAh/g、Li_<2.6>Co_<0.4>NとSnOでは600mAh/g、Li_<2.6>Co_<0.4>NとSiOでは1000mAh/g以上の容量を保ちながらサイクルすることが見出された。大容量リチウム電池の負極として大変有望であることが明らかとなった。この負極は固体ポリマー電解質と組み合わせても効果的であることが本研究で明らかとなり、将来の発展が期待されると思わる。
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