研究概要 |
従来のエポキシ樹脂硬化物は,優れた耐熱性,機械特性および接着性を有しているため,半導体封止材などの電気・電子材料として使用されている。しかし,エポキシ樹脂硬化物中には多数の水酸基が存在しているために,硬化物の電気絶縁性および誘電特性に問題がある。 そこで,本研究では,低吸水性でかつ良好な電気絶縁性と低誘電率を有するエポキシ樹脂硬化物を開発するために、球水性のトリメチルシロキシ基を有する新規なシロキシ含有エポキシ樹脂とN-シリル化アミン系硬化剤および0-シリル化フェノール系硬化剤を用いて,エポキシ樹脂の新規な硬化反応を確立するとともに,疎水性のエポキシ樹脂硬化物を作製することを目的とした。 まず,N-トリメチルシリル化アミン系硬化剤および0-トリメチルシリル化フェノール系硬化剤を用いて,トリメチルシロキシ基含有エポキシ樹脂を硬化させたところ,トリメチルシロキシ基を有する疎水性のエポキシ樹脂硬化物を容易に作製することができた。得られたエポキシ樹脂硬化物は疎水性のシロキシ基を有するために,従来の水酸基を有する硬化物に比べ,ガラス転移温度は低下したが,熱分解温度は同等の値を示した。また,シロキシ基含有エポキシ樹脂硬化物表面の水の接触角は大きく,かつ吸水率が低いことより,良好な疎水性を有していた。 以上のように,N-シリル化アミン系硬化剤および0-シリル化フェノール系硬化剤を用いてシロキシ基含有エポキシ樹脂を硬化させることにより,従来のエポキシ樹脂硬化物に比べて,低吸水性で低誘電率および良好な電気絶縁性を有する疎水性のエポキシ樹脂硬化物を開発することができた。
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