本年度は引き続きアセタール構造を含むポリイミドモノマーであるジアミン体の合成を行った。新規な構造として、ジフェニルベンザル基を有するジアミンの合成を行ったが、このものの結晶性が以上に低く、多くの困難を伴った。 一方、ジアミンを経由しない方法として、イミド骨格を有するビフェノールとベンザルクロリドとの反応の可能性に着手した。この方法は来年度の主たる研究になると思われる。 感光性を直接担う光酸発生剤として、長波長領域に吸収のあるものを合成して使用していたが、発生する酸がスルホン酸であり、けっして強力な酸であるとは言い難かった。そこで、新たに強酸であるフッ化ホウ素酸が発生する光酸発生剤を合成した。 ヘキフルオロイソプロピリデン骨格をもつ酸無水物とのポリマーはアミド系溶媒、THFなどに可溶であり、これを用いて光照射によるパターニングを行った。このポリイミドのg線(436nm)、i線(365nm)に対する透過率はそれぞれ95%、61%であった。光酸発生剤存在下でg線を照射するとポリイミドフィルムのUV-visスペクトルが変化し、150mJ/cm^2でほぼ完全に反応が進行することが確認できた。光酸発生剤を30wt%混合した系ではアルカリ現像によりパターン形成が可能であった。現像後の加熱処理により残存する光酸発生剤を系外に除去することができた。
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