生分解性バイオポリマーハイブリッド材料の開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11555248
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 岡田 鉦彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20023103)
• 研究分担者: 伊藤 勝仁 アイセロ化学株式会社, 研究員 ; 青井 啓悟 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (30222467)
• キーワード: 生分解性 / ポリエステル / フラン / キチン / ポリビニルアルコール / ポリマーブレンド / DNA / オキサゾリン

研究概要

1) 糖質に由来する新規芳香族系ポリエステル
フルフラール誘導体から1,1-ビス(5-(メトキシカルボニル)-2-フリル)エタン(1)を合成し、チタンイソプロポキシド触媒の存在下で1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール(2)と重縮合させて、主鎖にフラン環を有するポリエステルを合成した。また、ジオール成分には2を用い、ジカルボン酸成分として1と脂肪族ジカルボン酸ジメチルとを併用して、コポリエステルも合成した。酵素分解試験および土中埋没試験によれば、これらのポリエステルのうちではセバシン酸単位を含むコポリエステルが比較的高い生分解性を示した。土中での埋没試験と電子顕微鏡観察の結果から、1を含むコポリエステルには主に放線菌によって分解されることがわかった。
2) タンパク質・核酸・多糖含有ポリマーハブリッド
側鎖の鎖長および導入率の異なるキチン/ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)グラフト共重合体およびキチン/ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)グラフト共重合体を合成した。これらのグラフト共重合体とポリビニルアルコール(PVA)とのブレンドフィルムを作成して土中埋没試験を行った。FT-IR分析および電子顕微鏡観察により、キチンとブレンドすることによりPVAの分解が促進されること、バクテリアおよび放線菌による分解が起こることなどを明らかにした。このほか、DNAとPVAとから相溶性のブレンドフィルムを調製し、その力学的性質や表面特性を調べた。

研究成果

• [文献書誌] K. Aoi: "Synthesis and Assembly of Novel Chitin Derivatives Having Amphiphilic Polyoxazoline Block Copolymer as a Side Chain."Macromolecular Chemistry and Physics. 200(5). 1112-1120 (1999)
• [文献書誌] A. Takasu: "New Chitin-Based Polymer Hybrids, 4: Soil Burial Degradation Behavior of Poly(vinyl alcohol)/Chitin Derivative Miscible Blends."Journal of Applied Polymer Science. 73(7). 1171-1179 (1999)
• [文献書誌] M. Okada: "Biodegradable Polymers Based on Renewable Resorurces. III. Copolyesters Composed of 1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol, 1,1-Bis(5-carboxy-2-furyl)ethane, and Aliphatic Dicarboxylic Acid Units"Journal of Applied polymer Science. 74(14). 3342-3350 (1999)
• [文献書誌] K. Aoi: "DNA-Based Polymer Hybrids, Part I. Compatibility and Physical Properties of Poly(vinyl alcohol)/DNA Sodium Salt Blend."Polymer. 41(8). 2847-2853 (2000)
• [文献書誌] T. Seki: "Synthesis of Chitin Derivatives Having Peptide Side Groups by the Water-Soluble Active Ester Method."Macromolecular Chemistry and Physics. in press. (2000)
• [文献書誌] M. Okada: "Biodegradable Ploymers Based on Renewable Resources. IV. Enzymatic Degradation of Polysters Composed of 1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol and Aliphatic Dicarboxylic Acid Moieties."Journal of applied polymer Science. in press. (2000)