研究概要 |
1.糖質に由来する新規芳香族系ポリエステルの合成と生分解性 グルコースから容易に誘導される1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトールをジオール成分として用い、フルフラールから誘導される1,1-ビス(5-メトキシカルボニル-2-フリル)エタンと7種の脂肪族ジカルボン酸とをジカルボン酸成分に用いた塊状重縮合により、分子量1〜2万の一連の含フランコポリエステルを合成した。これらのコポリエステルについて4種の酵素を用いてリン酸緩衝液中で酵素分解試験を行い、酵素の種類とコポリエステルの分子構造との間に興味深い相関があることを認めた。またこれらのコポリエステルのフィルムについて、抗生物質を添加した土中で分解試験を行い、含フランコポリエステルが土中では主として放線菌によって分解を受けることを明らかにした。 2.タンパク質・核酸・多糖含有ポリマーハイブリッドの相溶性と生分解性 キチン-graft-ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)とポリビニルアルコール(PVA)とのブレンドを調製した。このブレンド系は全組成範囲にわたって相溶性であった。ブレンドフィルムの土中埋没試験を行った結果、PVA単独に比べて生分解が促進されること、バクテリアと放線菌によって生分解が進行していることがわかった。このほかポリサルコシンとPVAとのブレンド系では、少量のポリサルコシンのブレンドによってPVAの熱安定性が向上することが認められた。またサケの白子から得たDNAとPVAとのブレンド系では、PVAのマトリックス中でもDNAは二重らせん構造を形成し、その立体配座はPVA含量に依存して変化することがわかった。
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