申請者らが独立に開発した酸素還元高分子錯体触媒を活用して、常温下でも作動する高エネルギー出力の高分子燃料電池を目指した酸素極の構築と性能試験を目的とする。最終的には電池を作製して軽量電源としての評価する研究を推進する。今年度の成果を述べる。 1)高分子錯体の合成と酸素電極としての評価試験 ポリアニリン、ポリハイドロキノン、ポリフェニレンイミンなど一連のプロトン貯蔵型π共役高分子に集積させた高分子錯体触媒を調整するため、各種ポリまーを合成した。特にカルボキシル基をもつポリ(アミノフタル酸)が極めて高い効率で電子触媒として働くことが判明したので、モノマーの精密合成を行い、ポリマーの大量合成を実施した。透析処理により収率20%以上で得る方法を確立した。これら得られた高分子にμ-ジオキソ錯体を混合し高分子錯体を得た。高分子鎖のモノマー2ユニットに錯体が配位すると、効率の高い触媒能を示すことを突き止めた。サイクリックボルタメトリーにて酸素還元の触媒電流が観測、定量的な解析を更に推し進めて最も効率の高いπ共役高分子複合錯体を確定した。π共役高分子複合錯体の被覆電極で酸素還元を実施、回転リングディスクボルタンメトリーのKoutecky-Levich Plotから電子数4と水生成80%以上を確認できた。
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