研究概要 |
本研究は,マッハ数3.5までの超音速燃焼流において,コンパクトな半導体レーザーを光源としたH_2Oに対する光吸収法の適用を図り,速度・温度・濃度の同時計測を行うことができる新しい非接触光学計測法を開発することを目的とする。 本年度は,昨年度開発した半導体レーザー光源部に対する制御系,受光部および計測・制御コードの開発を研究協力者(米国)と共同で行った。同じく昨年度開発した光ファイバー光学系と新たに購入した受光素子と接続し,システムとしてのマッチングを行った。さらに,東北大学流体科学研究所の超音速燃焼風洞において,超音速流での水素火炎安定化が可能な空気吸い込み型ストラット保炎器を風洞測定部に設置し,後流燃焼域の測定を行うための半導体レーザー光通過窓部を新たに設計製作して燃焼・計測試験を行った。 1台のInGaSaP半導体レーザーから2波長を発生させて2つの吸収線から温度を求めるための計測・制御コードの開発を行った。レーザー導入窓材は,Infrasil-301およびBK-7の2種類のガラス素材を用い,さらに,レーザー光路にピンホールを設けることによって火炎からの赤外輻射の影響を取り除いた。測定空間以外のレーザー光路を窒素バージ可能な構造にすることにより,周囲空気中の水蒸気による吸収を取り除いた。これらを用いて,超音速空気流に対する非燃焼時および燃焼時の計測試験を行った結果,非燃焼時において,速度および温度は何ら補正を行うことなく数値予測された値と一致するデータが得られた。H_2O濃度に関しては,風洞予熱装置に含まれる水分濃度を差し引くことで良好な結果が得られた。燃焼時においても,レーザー流速計によって測定された平均流速と一致し,H_2O濃度も非燃焼時と同様の補正を加えること良好な結果が得られた。以上により,本研究によって開発されたシステムは超音速燃焼流の速度・温度・濃度の同時計測が可能な非接触光学計測システムであることが確かめられた。
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