研究分担者 |
内田 利弘 産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究グループ長
下泉 政志 九州職業能力開発短期大学校, 助教授
田中 良和 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00025420)
利岡 徹馬 応用地質(株), つくば技術開発センター, 研究グループ長
江原 幸雄 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10002346)
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研究概要 |
本年度は,これまで研究,開発してきたシステムの実証調査として,北海道北部中頓別地域において,25測点をグリッド状に配置したMT探査を行った.本探査では,カナダ製MTU5広帯域MT探査機を用い,380Hz〜0.00055Hzの範囲の40周波数について電場,磁場データを取得した.各測点では一日当り夜間15時間観測を通常2日間行った.また,さらに低い周波数の電磁場を取得するために,フラックスゲート磁力計を用いた長周期用MT観測機で2ヶ月間観測を行った.データ解析プログラムについては,M推定法を基にしたロバストスタッキング法,データマトリックスに対するSVDによるインピーダンス推定法,ヒルベルト変換による位相-見掛比抵抗関係を利用した平滑化法等について検討し,それぞれの方法の有効性を検討した.また,同時に複数点で測定していたので,リモートリファレンス法によるデータ処理法とも比較検討した.その結果,一般的にはリモートリファレンス法が優れているが,1点だけでデータを解析する場合はSVDによるデータ処理もよい結果が得られることがわかった.特にノイズの性格について議論できることは興味深い. 3次元モデリング法についてはスタッガードグリッド有限差分法の計算精度の向上をはかり,大きな比抵抗コントラストある場合や地形がある場合のモデル計算も可能になった.3次元インバージョン法については,最小2乗法に基づく方法について,今年取得した25測点のデータを用いて実際の地下構造モデルを作成することを試みた.探査地域は,西側が地震の頻発地帯であるのに対して,東側は地震がほとんど起こらない地帯である.このような明瞭な地殻の性質に差がある場所の比抵抗構造の特徴を議論した.
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