研究概要 |
水管理法の基本的な枠組みを作るために,また,深水栽培における施肥方法を確立するために,宮城県農業短期大学の水田において,栽培実験を行った.施肥法の開発のために一般に用いられている化成肥料に,被覆型緩効性肥料を2/3,1/3,0と混ぜた3肥料区を設けた.5月14日に葉齢4.3の苗を1株3本,30cm×15cmに田植えし,移植後21日目から,最上位展開葉のカラーを目安に水位を上げる深水区と,通常の水管理をする慣行区とを設けた.移植後21日目から,1週ごとに生育調査を行い,収穫期となった9月14日に終了調査を行った.また,登熟期の群落構造を把握するために,穂揃い期に層別刈り取りを行った.その結果,施肥法に関わらず,慣行区と比べて深水区では,草丈が高く推移し,葉齢はやや速いか同じくらいの速度で進み,最高茎数は少なかったが有効茎歩合は高かった.穂揃い期の草高は深水区の方が高いが,群落の構造としては,慣行区で見られる葉の階層が上にシフトした状態と考えられた.また,収量とそれに関係する形質については,現在解析中ではあるが,深水区において,被覆型緩効性肥料を混ぜることによって,収量が高まる可能性が示されている.また,深水栽培している農家の水田を調べ,また,聞き取りにより情報を集めた.その結果,貯水型深水栽培において収量を高めるためには,次年度以降,中干しの位置付けを究明する必要を感じた.ポット栽培した水稲に,水槽で深水処理を行い,調査,サンプルした.異なる齢のイネに最上位展開葉カラーを目安とした同様の深水処理をしても,反応が異なることが示され,現在,解析を進めている.
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