研究概要 |
セル成型苗はセルという制限された容量の中で根群を形成させるため,定植適期が短く徒長,老化苗となりやすい,発芽率,発芽勢の悪い作物や苗の大きな作物では適用しにくいといった欠点がある。本研究室で考案された無培地のセルシート育苗法は,簡便かつ軽量であると共に,育苗中に常に水分や液肥が供給されるため,上記のセル形成苗の欠点が解消される。また,無培地であるために困難と想像される露地圃場への定植も夏の乾燥条件でも活着,初期生育が通常のセル苗より極めて良く,収集も高かった。このセルシートは実用化を行う上で、(1)根圏を保護するために上面保護として木綿布やポリエステル不織布などを用いたが、1穴ずつ置かねばならず定植した後も壊れにくい、(2)輸送・搬送時に苗がはがれやすい、(3)育苗中、根圏の藻類やかびの発生を抑制するため、リンを分割供給する必要があり、通常の水耕液が使えないなどの問題点があった。 乾燥ピートモスで被覆し、セルシート表面を、遮光すれば、根圏の藻類やかびの発生を抑制でき、(1)・(3)の問題点が解決された。(2)については、輸送時に、セルトレイよりも箱とセルシートの大きさをより厳密にあわせること、素材を、遮根シートのラブマットUからテトロンNo200に変更し、根のシートへの張り付きを若干良くすることにより解決された。
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