研究分担者 |
小田 雅行 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (50291604)
徳弘 晃二 日本たばこ産業, 育苗センター長野, 技術課長
林 孝洋 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40173009)
伊達 修一 京都府立大学, 農学部, 助手 (80236786)
後藤 丹十郎 岡山大学, 農学部, 助手 (40195938)
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研究概要 |
セル成型苗はセルという制限された容量の中で根群を形成させるため,定植適期が短く徒長,老化苗となりやすい,発芽率,発芽勢の悪い作物や苗の大きな作物では適用しにくいといった欠点がある。本研究室で考案された無培地のセルシート育苗法は,簡便かつ軽量であると共に,育苗中に常に水分や液肥が供給されるため,上記のセル成形苗の欠点が解消される。特に輸送時のセルあたり重量はセルトレイの約1/2〜1/3になる。また,無培地であるために困難と想像される露地圃場への定植も夏の乾燥条件でも活着,初期生育が通常のセル苗より極めて良く、収量も高かった。このセルシートは実用化を行う上で、(1)根圏を保護するために上面保護として木綿布やポリエステル不織布などを用いたが、1穴ずつ置かねばならず定植した後も壊れにくい、(2)輸送・搬送時に苗がはがれやすい、(3)育苗中、根圏の藻類やかびの発生を抑制するため、リンを分割供給する必要があり、通常の水耕液が使えないなどの問題点があった。 11年度に乾燥ピートモスで被覆し、セルシート表面を、遮光すれば、根圏の藻類やかびの発生を抑制でき、(1)・(3)の問題点が解決された。(2)については、輸送時に、セルトレイよりも箱とセルシートの大きさをより厳密にあわせること、素材を、遮根シートのラブマットUからテトロンNo200に変更し、根のシートへの貼り付きを若干良くすることにより解決された。 12年度に以上の結果を受け、テトロンNo200と同等性能を持つ安価な資材を検索したが適当な物が発見できなかった。しかし、その過程で資材はほとんど植物の生育そのものには影響を及ぼさないことがわかった。 京都大学京都農場での実験では、セルシートの活着程度はセルトレイよりよいと言う結果が得られた。京大で育成した苗を各地に送付し、定植実験及び貯蔵試験を行ったところ、水耕ではセルシートの方がおおよそ、良好、露地圃場ではセルトレイと同等程度以上であるが圃場の状態、特に土壌の性状により、活着程度の違いが認められた。以上からセルシートは充分実用化の可能性があると思われた。
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