研究概要 |
オキサジアジン系殺虫剤インドキサカルブ(JW-062)は生物体内で活性化を受け,電位依存性ナトリウムチャネルに作用するとされているが,その作用メカニズムには不明な点が多い.そこで電気生理学的手法であるパッチクランプ法を用いて,インドキサカルブの各種イオンチャネルに対する作用について検討した.電位依存性ナトリウムチャネルおよびガンマアミノ酪酸受容体に対するインドキサカルブおよびその代謝物(JT-333)の作用を調べたところ,ナトリウムチャネルに対してはどちらの化合物も同様に抑制作用を示したが,ガンマアミノ酪酸受容体に対しては,インドキサカルブは抑制作用を示したが,代謝物は作用を示さなかった.また,ニコチン性アセチルコリンレセプターチャネルに対してサブタイプ依存の抑制作用を示した.また,オキサジアジン系殺虫剤に属する化合物の殺虫活性の異なる光学異性体間についてナトリウムチャネルに対する作用を比較したところ,抑制作用に大きな違いは認められなかった. 以上得られた知見より,これまで言われてきた同剤の作用メカニズムの説明は再検討を必要とし,特に伝達物質開閉型イオンチャネルが作用点として重要である可能性が示され,従来とは異なった作用メカニズムを持った化合物の開発に寄与する知見であると思われる.
|