研究概要 |
海洋細菌Vibrio fisheriのluxA-luxBにトランスポゾンTn3,Tn5の両端(IR)部を持たせプラスミドを作成し、これらがin vitro,in vivoの系でトランスポジションがおこることを確認した。次に、これらを用いて、一般大腸菌及び大腸菌O157株検出用レポーターファージを分離した。これらのレポーターファージを用いると、特定の細菌一個を3時間以内で検出出来ることがわかった。この検出テストでは、土壌、他の細菌、植物組織、畜産物の存在下でも、発光量に変化は見られなかった。なお、発光基質としてテトラデカナールを用いた。基質溶解用各種溶媒について検討を行ったが、水が最も発光強度、酵素の安定性において優れていた。植物病原細菌Xanthomonas axonopodis pv.citri,Erwinia amylovora,Ralstonia solanacearumのそれぞれに特異的に感染するファージから、それぞれの植物病原細菌を検出する発光ファージを分離するため、上記Tn3,Tn5のIRを両端に持つluxA-luxBカセットを広宿主プラスミドにクローニングした。また、細菌一個当りのファージを多数感染させて、溶菌後、細胞内成分(DNA、アルカリフォスファーターゼ、β-ガラクトシダーゼ)の量や活性を計測することによって、特定細菌を検出する方法についても検討を行った。その結果、感度は約千分の一になったが、この方法によっても検出が可能であることが判った。この場合は、レポーターファージの分離を必要としないメリットがある。
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