研究課題
基盤研究(B)
絹不織布(蚕繭紙)は優雅な外観や優しい感触を有しており、さらに、優れた生体適合性も期待される。すなわち、寝たきり老人の床擦れなどのいわゆる皮膚障害を克服しうる素材としても有望であり、さらに、創傷被覆材などの皮膚適合性材料としての期待も持てる。本研究では絹不織布が予想どおりの優れた生体適合性を有するか否かを判定すること、及びこの特性を応用して創傷被覆材や人工皮膚素材の開発を行うことを最終目的として以下の研究を行った。本年度には均一で良質な絹不織布の効率的な生産方法について、蚕繭紙法と他の方法を比較検討した。(1)繭試料を破砕して得られる繊維集合塊からウェッブを作製し樹脂接着方式およびニードルパンチ(機械接合)により不織布の作製を試みた結果、どちらの方法でも作製可能であった。(2)蚕繭紙法を用いて絹不織布の作製条件を検討するため、桑葉育と人工飼料育で比較した。人工飼料の組成や飼育条件と不織布品質(繊度、白度、均一度など)との関係を明確化し、標準的な条件を確立した。(3)絹不織布の溶解性を制御するための不溶化処理を試み、その効果と染色特性への影響を調べ、さらに不織布の構造をIR法やSEMを用いて検討中である。(4)これらの試料をウサギを用いる動物実験で生体適合性と体内吸収性の評価実験が現在進行中である。
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