研究概要 |
原核生物におけるRubisCO翻訳後活性化機構を解明する目的で、高温性水素細菌Hydrogenophilus thermoluteolusのRubisCO翻訳後活性化に関する以下の知見を得た。 (A)H.thermoluteolus RubisCO遺伝子下流に存在するcbbQOそれぞれの遺伝子産物がRubisCO活性化に関わっていることを明らかにした。 (B)上記活性化に関して、RubisCO蛋白質の構造変化が伴っていることを、CDスペクトルを測定することにより明らかにした。 (C)CBBQ蛋白質にATPase活性が存在することを明らかにした。その反応はADPの存在によって阻害を受け、またMgイオンが加水分解活性に必要なことが明らかとなった。これらの特徴はRubisCO activaseと同じであった。しかし、CbbQはATPのほかにUTP,GTP,CTP,TTPの加水分解を行ったのに対し、RubisCO activaseはATP以外のヌクレオチド-3-リン酸を用いての加水分解は行わなく基質に対する反応特異性があった。CbbQとRubisCO activaseは違う系統に属するタンパク質であるが、RubisCOの活性化に関与しATPの加水分解を行うという点に関して、その性質に共通点が見られた。 また、H.thermoluteolusのカルビン-ベンソンサイクルに関する遺伝子群の解析を行い以下の知見を得た。 (D)これまで不明であったcbbRの存在を明らかにすると共に、遺伝子群のほぼ全容をcbbLSQOYA-pyk-cbbRFPTGKと解明した。H.thermoluteolusにはcbbA遺伝子が二つ存在したが、両方ともclassII FBP aldolaseに属するにも関わらず、上流部に位置するCbbA Iは他菌のCbbAや本菌下流に位置するCbbA IIとは相同性も低かった。
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