研究課題/領域番号 |
11556015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪井 康能 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60202082)
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研究分担者 |
近藤 恵二 キリンビール(株), 基盤技術研究所, 主任研究員
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 助手 (00283648)
加藤 暢夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026556)
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キーワード | メタノール資化性酵母 / Candida boidinii / アルコールオキシダーゼ / ジヒドロキシアセトンシンターゼ / ギ酸デヒドロゲナーゼ / メタノール誘導性プロモーター / ペルオキシーム / Pichia methanolica |
研究概要 |
メタノール資化性酵母Candida boidiniiのアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOD1)、ジヒドロキシアセトンシンターゼ遺伝子(DAS1)、ギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(FDH1)、Pmp20(PMP20)、Pmp47(PMP47)のプロモーターは、いずれもメタノール誘導性プロモーターである。これらの5つのプロモーターについて、出芽酵母酸性フォスファーターゼ遺伝子をレポーターとして各プロモーターの強さや発現調節を解析したところ、メタノール誘導時の強さはDAS1プロモーター,AOD1プロモーター,FDH1プロモーターの順であり、FDH1プロモーターはギ酸によっても活性化され、グルコース抑制を受けないことなどが分かった。またDAS1プロモーターは、AOD1プロモーターよりさらに1.5倍強く誘導されるばかりでなく、その発現順序も、AOD1プロモーターに先行しておこることが明らかとなった。これはアルコールオキシダーゼによって生産される毒性の高いホルムアルデヒドの菌体内での蓄積を最小限にするために、ホルムアルデヒドを消費するDASをAODに先行して発現しているものと考えられる。このような調節機構がどのようにして行われているのかを、代謝をプロックした遺伝子破壊株を用いて解析したところ、AOD1プロモーターはDASによる資化代謝産物であるグリセルアルデヒド・ジヒドロキシアセトンにより誘導され、代謝をモニタリングしながら、AODの発現レベルが調節されていることがわかった。同じメタノール誘導性プロモーターでも、DAS1プロモーターにはこのような現象は見られない。現在、AOD1プロモーター及びDAS1プロモーターにおいて、メタノール応答性cis配列をほぼ特定し、特異的なDNA結合タンパク質mp存在を確認したところである。一方、これらのメタノール誘導性酵素が、ペクチンを炭素源とし生育させた時に誘導されることも明らかとなり、メタノール酵母によるバイオマス利用とメタノール資化性との関連が明らかとなった。
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