研究概要 |
前年度までにオンライン-HPLC-励起子CD分析法による絶対配置決定法の開発を行なったが、さらに感度を上げるために、蛍光CD検出の可能性の研究を行なった。 クロモファーの組合せ方によってはCD検出が可能であり感度はUV検出の10^2以上向上することを明らかにしたが、全く蛍光CDを与えない組合せもあり、普遍的でないのでこれ以上の研究は一時見合わせることとした。 一方、分岐脂肪酸の絶対配置決定はカルボキシル基から2〜24位までのメチル分岐のエナンチオマーを識別しナノグラムオーダーのサンプル量でその絶対構造式を決定出来るシステムを開発した。 また、光学活性アルコールおよびアミン類の絶対構造式決定のための蛍光不斉誘導体化試薬として、(R,R)-及び(S,S)-2-(2,3-アントラセンジカルボキシイミド)シクロヘキサンカルボン酸と3、4、6-トリ-0-アセチル-2-(ナフタレン-2、3-ジカルボキシイミド)-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシルブロマイドを合成し、不斉識別能を研究したところカルボン酸用試薬と同様の機能を持つことが分かり、これら試薬を使ったHPLCによる絶対配置決定システムの開発を行なっているところである。 本絶対構造決定システムの天然物への展開として、新規グリセロ糖脂質S365Aに含まれる分岐メチル脂肪酸類の絶対構造式を試料1ngを使用してそれぞれ(S)配置であると決定した。
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