研究概要 |
本研究は、半乾燥地を中心に農業に甚大な被害をもたらしている根寄生雑草の防除に資することを目的として、発芽刺激物質、発芽阻害物質の探索ならびに発芽調節機構の解明を行った。 スーダンのソルガム畑で立ち枯れたストライガの個体から分離したFusarium solaniの代謝産物がストライガの発芽を阻害することを見いだし、活性成分として、neosolaniolおよびその3種のアセチル化物(acuminatin,8-acetylneosolaniol, diacetylneosolaniol)を同定した。これら一連のトリコテセン(trichothecenes)のストライガに対する発芽阻害活性はアセチル化に伴い上昇したが、完全にストライガの発芽を阻害する濃度で、宿主植物ソルガムの発芽および初期生育にも阻害を示した。 スクリーニングの結果最も高い発芽刺激活性を示したコウモリカヅラの根の培養液から、活性成分をとして(+)-strigolを単離した。極めて生産性が高いことから、今後、この培養系を用いて、ストリゴラクトンの生合成の解明が期待される。 エチレン生合成に関わる2種類のACC合成酵素(SHACS1,SHACS2)および1種類のACC酸化酵素(SHACO1)を単離し、発現を調べた。その結果、SHACS1は発芽処理に応答して、SHACS1はコンディショニングに応答して発現が高まることが明らかとなった。このことから、ストライガ種子はSHACS1およびSHACO1によってそれぞれ宿主と環境を認識しており、生育条件が満たされていることを確認してエチレン生合成を活性化し発芽すると考えられた。
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