研究概要 |
本年度は,感度向上を目指したシステムの改良と,測定データからにおい試料を判断する認識プログラムの開発を主に行った. システムの改良については,前年度までも検討を重ねてきた.今年度は,まず,におい試料注入口とセンサ・セルをつなぐステンレス・パイプの温度について検討した.前年度までの結果から,におい試料注入口,センサ・セルの温度は,それぞれ250℃,30℃のときが一番感度がよいことがわかっているが,この間をつなぐパイプについても,30℃においてセンサ感度が最もよかった.また,センサに吸着膜物質を塗布するときの塗布量とその濃度について,詳細な検討を行った.検討した7種類の吸着膜物質について,水晶振動子の安定した発振周波数を得る条件を明らかにした. 測定データからにおい試料を識別するプログラムの開発について,まず,測定データの主成分分析を行った.いろいろな「主成分」軸を発振周波数の変化パターンのグラフから検討し,柑橘系果実の種類ごとのグルーピングが十分可能であることが明らかになった.また,これらの解析に使ったデータは,測定するにおい物質の量や濃度の影響がほとんどない.そして、さらにそれらの結果を,ニューロアルゴリズムの自作プログラムに反映した.これらについては、データ数を増やすことによって、より認識率の高いプログラムへの発展が期待できる.
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