研究概要 |
N末端にロイシン,プロリン,アルギニン,中央部にヒスチジンあるいはトリプトファン,そしてC末端部に18種のアミノ酸を配置した108種のトリペプチドからなるライブラリーを構築した。このペプチドライブラリーのリノール酸の自動酸化に対する抗酸化性とラジカル消去作用をスクリーニングした。リノール酸の自動酸化に対しては,中央にヒスチジンを持ったトリペプチドが強い活性を示した。一方,ラジカル消去作用では,C末端部がトリプトファン及びチロシンであるトリペプチドが強い活性を示した。抗酸化ぺプチドとフェノール系抗酸化剤との相乗作用を基礎に,両者を併せ持つハイブリッド型抗酸化剤をデザインした。すなわち没食子酸またはサリチル酸のカルボキシル基とヒスチジンペプチドのアミノ基の縮合によって調製したハイブリッド型抗酸化剤のラジカル消去作用をABTS法で測定し,水溶性トコフェロールTroloxにまさる活性を持つことを明らかにした。 ヒスチジンを含むジペプチドの抗酸化特性を,ウサギ赤血球,ハムスター由来の培養細胞株及びラットを用いて確認した。抗酸化ペプチドを経口投与したラットにおいて,投与45分後に血液中の抗酸化ペプチドは最大値を示した。ビタミンB2欠乏食で酸化ストレスを与えたラットに,抗酸化ペプチドを添加した餌を与えることにより,肝臓における過酸化脂質消去酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼの活性が増加した。また,抗酸化ペプチドの腸管からの吸収量は,ラットに少量の大豆レクチンを摂取させることにより向上がみられた。
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