研究概要 |
SMXA-5系統のインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)新規モデルマウスとしての特性の解析 1、基本食(5%コーン油、12%カゼイン食)を摂取した場合の、50週齢までのNIDDM症状の解析 実験動物:SMXA-5,SM/J,A/J系統マウス 試料採取:5、10、15、20、30、40、50週齢時 SMXA-5系統において親系統(SM/J,A/J)と比べて顕著に見られた形質: 5週齢から耐糖能異常、高インスリン血症観察された。絶食時血糖値および肥満度は10週齢より有意な高値を示した。非絶食時血糖値は15週齢以降で、200mg/dl(糖尿病としての診断の基準値)を越えた。20週齢で初めて、インスリンの血糖低下作用の不全が観察された。しかしながら、20週齢以降も尿糖は陰性であり、非絶食時血統値および耐糖能も増悪することはなかった。 2、高脂肪食(30%ラード、20%カゼイン食)摂取の、SMXA-5系統のNIDDM症状に対する影響 実験動物:SMXA-5、SM/J、A/J系統マウス 試料採取:5、10、15週齢時 SMXA-5系統において親系統(SM/J,A/J)と比べて顕著に見られた形質: 基本食を摂取した場合に比べて、耐糖能、高インスリン血症、絶食時血糖値は顕著に増悪された。そして、親系統の値との格差も広がった。すなわち、SMXA-5は高脂肪食に対して感受性が高く、高脂肪食の摂取によってNIDDM症状がより顕著に観察される系統と考えられた。高脂肪食の摂取は、白色脂肪組織の熱産生脱共役タンパク質UCP2の遺伝子発見を促進して、体内での脂肪からの熱産生を増加させる。SMXA-5の白色脂肪である腸間膜脂肪では、親系統に比べて、UCP2の遺伝子発現の誘導が明らかに制御されていた。
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