研究課題
基盤研究(B)
今年度に得られた結果を以下にまとめて示す。1. ボードの製造方法を様々な側面から検討した。実験室的には低比重化を試みた。イソシアネート系樹脂接着剤を使用し、蒸気噴射プレスを併用することで、0.2程度の比重のものは問題なく製造できることが判った。但し、材料実質比重(0.35程度)以下の低比重ボードの成型では圧締時のプレスへの反力がほとんど得られず、プレスの自重によって圧密化が進む現象が見られた。また、蒸気噴射を用いない場合には、非常に長い(比重0.3、50mmのボードを180℃のプレスで圧締し約25分)圧締時間を必要とした。これらの結果は、ボード製造を工業的に行う為には解決すべき課題となった。2. 1.で製造したボードについて強度性能、及び熱伝導率の測定を行った。弾性率及び強度は比重にほぼ比例する。しかし、0.3以下の比重ではその値は非常に小さく、寸法等、必要性能との相互的な検討が必要であった。一方、熱伝導率は比重と明確な直線関係を持つことが明らかになった。また、他の木材・木質系材料について同様の測定を行った結果、それら全てが比重との関係においてほぼ同じ直線に乗ることが明らかになった。3. 樹皮ボードの耐久性の一つとして、1.のボードをシロアリによるチョイステストに供した。樹皮ボードとその他の木材が混在する条件では、樹皮ボードはシロアリの食害をほとんど受けなかった。しかし、樹皮ボードのみを与えた場合には食害を受け、なおかつシロアリの死虫率はそれほど高くなかった。4. 1.のボードについて放出ホルマリン量を測定した。樹皮ボード放出ホルマリン量は材部のそれより小さいことが判った。さらに、ホルムアルデヒドガスを充満させたデシケーター中にボードを置いた吸着実験では、樹皮ボードは材部のボードより吸着性に優れ、さらにその後の再放出量も小さいことが明らかになった。