研究分担者 |
青海 忠久 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (10144338)
上野 正博 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30160196)
林 勇夫 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70026540)
野上 欣也 日本栽培漁業協会, 場長(研究職)
富永 修 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (90264689)
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研究概要 |
適正な放流尾数の算定には,生育場での環境収納力の評価が最も重要な生態学的前提となる。環境収容力を推定する実験生態学的手法の1つとして,良質のヒラメ人工種苗を生育場に大量に放流し,人為的に過密状態を作り出すことにより,放流魚と天然魚より構成されるヒラメ個体群の生態的諸変化を多面的に解析する道がある。 1999年には,過去2年間の放流時期,放流サイズの検討を引き続き,放流尾数の検討を行う予定であったが,種苗生産用親魚に病気が発生し,大量放流は実施できなかった。1997年・1998年に得られた放流再捕魚と天然魚ならびに1999年に採集された天然魚の胃内容物,日摂食量,耳石輸紋による日成長量,RNA/DNA日を調べるとともにアミ類の季節的出現状態を調べた。 胃内容物は3年間を通して体長5cm未満ではアミ類が中心であったが,それ以上ではカタクチイワシなどの魚類が中心となった。年間を通して当海域には20種を越えるアミ類が出現し,それら全体の出現量には顕著な季節変化が見られ,6月中旬にピークに達した。胃内容物重量指数や日接触量は年や時期により異なり,環境中のアミ類現存量と相関するとともに稚魚の成長によく反映した。 大量放流が行われ,その後も放流稚魚が滞留した場所と放流魚の存在が見られなかった隣接場所で天然魚の摂餌状態,日成長量,RNA/DNA比を調べたところ,前者の天然稚魚では摂餌量の低下,空胃率の上昇,核酸比の低下,日成長量の低下が認められ,人工種苗の天然稚魚への影響の一端が確認された。
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