80年代後半以降、輸入野菜が急増し国内野菜との競合を強めつつあり、輸入野菜への対抗方策が早急に求められている。輸入野菜に対抗し国産野菜の振興を図るためには、鮮度、品質、安全など国産野菜の良さを強調することに加え、生産から流通までのあらゆる段階で可能な限りコストを削減していくことが重要である。ただ、これまでの対抗策は生産費に関しての議論はされても流通費については、ほとんど議論がされてこなかったといっても過言ではない。しかし、野菜流通が国内競争から国際競争へ移行しつつある中で、国産野菜が生き残っていくためには、生産費の削減だけでなく生産段階から小売り段階までの流通費の削減が必要不可欠であると考える。また、21世紀を迎えるにあたり、自然や環境破壊などによる地球温暖化、ゴミ問題など人類存続の基盤である地球環境が損なわれるおそれがあることが世界共通の認識となっている。 こうした中、「食品流通における環境保全型物流システムの導入と展開に関する研究」について、本年度は、第一に、環境保全への取り組みが進んでいるヨーロッパの現状を考察するために、ドイツ、フランス、スペインにおける食品流通での環境保全型物流の取り組みの現状について、小売業、物流センター、卸売市場、生産者の取り組みの現状を調査した。第2に、国内における環境保全型物流への取り組みの現状についてコンテナ(出荷容器)の使用実態を事例調査を実施した。事例調査は、限られた(クローズ)範囲で流通している事例と、広域(オープン)範囲で流通している事例とを調査し、比較検討を行った。第3に、環境保全型物流の実態や意向についてのアンケート調査を実施した。
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