研究概要 |
1.青果物の流通には非常に多くのマージンが含まれ、特に、産地では、選別・包装・荷造に関わる物流コストが産地流通コストを押し上げ、小売では、労務費や営業費が小売流通コストを押し上げ、小売価格を高める要因となっている。 2.近年、青果物流通において、レンタル+デポジット制にもとづいた「リターナブルコンテナ(容器),の導入が急増しつつあり、その利用・流通範囲も全国広域的規模で進められている。また、レンタル+デポジット制による「リターナブルコンテナ(容器)」は、今日の広域流通化した青果物流通への導入も十分可能であることが明らかになった。 3.わが国の消費者も、青果物の販売形態として、ばら(定価・計量)販売を望んでいる消費者が多数存在することが明らかとなった。このような消費者意識に対応するためにも、ばら販売による販売を拡大していく必要がある。そのためには、産地から小売(販売)までの物流そのものの見直しが必要である。 4.近年、国内大手小売業の物流において、従来のダンボー容器中心から急速に再利用可能なリターナブルコンテナへの転換が進みつつあり、さらには、近年、陳列什器の改良によるリターナブルコンテナでの陳列販売が模索されつつあることが明らかとなった、また、販売形態も従来の個装形態からばら(はだか)販売も積極的に導入していこうとする動きがあることも明らかとなった。 5.環境保全型物流の視点から、こうした取組の先進国であるEU諸国の物流実態の調査を実施した。EU諸国では、リターナブル容器を利用した物流や陳列販売が一般的であり、販売方法も、計量機を使用した消費者自身による計量販売が中心となっている。こうした背景には、物流パレットや容器のモジュール化、あるいは制度の整備があることが明らかとなった。わが国への環境保全型物流システムの導入や展開のためにも、そうした視点での取組が早急に求められている。
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