| 研究概要 |
1.フィルダム堤体の水理破砕 実存するダム堤体から採取した撹乱試料を用いて圧縮試験を行った結果,供試体の含水比の低下によって,せん断亀裂よりも縦亀裂が優先される場合があった。この場合,縦亀裂はせん断強度より低い荷重で生じた。このことより,気象条件の変化等により堤体の含水比の管理が十分になされていない場合には,水理破砕の原因となる縦亀裂が発生する危険性が考えられる。
2.浸透破壊に対する安全性評価 実際に生じた2つの浸透破壊事例の解析から,著者らの提案する浸透破壊に対する安定解析手法(Prismatic failureの考え方)が実例解析にも適用できることを示した。また,軸対称地盤の浸透破壊実験から,この考え方を用いると地盤の変形時水頭差が精度良く求まることを示した。土の異方透水性と浸透破壊特性の関係について詳しく考察し,浸透破壊安全率は,二次元地盤の場合にはそれほど変化がないが,軸対称地盤,二次元集中流地盤の場合には大きく低下することを示した。
3.コンクリート構造物の安全性評価 くさび挿入法に基づくコンクリートの二軸破壊試験装置を作製し,さらに,引張軟化曲線の逆解析プログラムを開発した。これによって二軸(圧縮〜引張)応力下における破壊パラメータの計測システムが確立できた。このシステムを用いて各種コンクリートの破壊エネルギーおよび引張軟化曲線などの破壊パラメータを解析した。
4.干拓堤防の信頼性設計 本研究の主な目的は多次元液状化確率の計算手法をを開発することであり,特に,地盤定数の空間的な変動性と,地震発生に関する統計モデルを考慮していることが特色である。地盤定数としては,N値,平均粒径,細粒分含有率を考慮し,これらの定数の三次元空間分布の推定に,コクリッギングと呼ばれる地盤統計学的手法を用いた。開発した手法から求めた干拓堤防の液状化確率を利用し,最適な地盤改良について議論を行った。
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