1)市販豚肉の熟成と呈味成分の変動 市販豚肉三種(黒豚、宮城野豚、アメリカ産豚)の呈味成分である遊離アミノ酸およびジペプチドは、いずれも熟成が進むにつれて増加傾向にあったが、変動の傾向に大きな差はなかった。食味試験では、香り、うま味では宮城野豚が、総合風味では黒豚がそれぞれ高く評価された。 2)残飯混合飼料を投与した豚肉脂質の性状および熟成による呈味成分の変動 半乾燥残飯を市販配合飼料に30%混合した飼料を調製した。混合飼料を投与した豚と対照区の豚の比較では、ロース全脂質およびコレステロール含量は投与区が対照区よりも高かったが、トコフェロール含量は残飯投与区の方が低い値を示した。いずれの含量も有意差は得られなかった。脂肪酸組成は、残飯に多く含まれるオレイン酸、リノール酸およびパルミチン酸が豚肉でも多かったが、リノレン酸は検出されなかった。不飽和度は各部位とも投与区の方がやや高い値を示した。遊離アミノ酸およびジペプチドの変動は、グルタミン酸の値が対照区に比べ投与区で3日目から有意に高くなった。 3)デュロック種種雄豚の固定化に伴う脂質性状の変動 種雄豚固定化第四世代の去勢豚68頭、雌豚15頭を選抜し、ロース全脂質含量および脂肪酸組成を分析した。ロース全脂質割合は雌4.02%、去勢3.66%を示し、第一〜三世代と異なり、雌の方が去勢より高い結果となった。第四世代の脂肪酸組成は、いずれの部位においても一〜三世代より不飽和度が高く、特に不飽和脂肪酸のパルミチン酸とステアリン酸が低下し、不飽和脂肪酸のオレイン酸とリノール酸が上昇した。
|