研究概要 |
褐毛和種の軟骨形成不全症は、四肢短小、異常歩行を主徴とする遺伝性疾患であり、熊本県を中心に高頻度で発生が報告されている。本疾患は常染色体単一劣性の遺伝子に支配されるが、その原因遺伝子は不明である。現在,キャリアー個体を効率よく検出する方法を確立し、集団より疾患の原因遺伝子を除去することが緊急の課題となっている。そこで本研究は、ポジショナルクローニング法および候補遺伝子アプローチ法を用いることによりウシの軟骨形成不全症の疾患原因遺伝子を同定し、さらにキャリアー個体を効率的に検出することのできる遺伝子診断法を確立することを目的として行われてた。 すでに本疾患の原因遺伝子はウシの第6染色体上に存在することが連鎖解析により明らかとされている。疾患原因遺伝子が存在する染色体領域上の既知の遺伝子より候補となる遺伝子を特定するためには,多くの機能的遺伝子の位置が明らかとされていることが必要とされる。そこで本研究では種間で保存された配列をウシの染色体上に位置づけることにより比較染色体地図を作成し,ウシの当該領域に対応するヒト,マウスの染色体上の位置を特定し,そこから候補遺伝子を特定することを試みた。具体的には,当該領域に存在することが予測される機能的遺伝子を,放射線雑種細胞法(RH法)によりウシ染色体地図上に位置づけることにより,ウシ染色体上での機能的遺伝子の位置を明らかとした。その結果、22の機能的遺伝子と27のマイクロサテライトマーカーよりなるウシ第6染色体の正確なRH地図が構築された。このRH地図をヒト染色体地図とを比較したところ、ウシ第6染色体は全領域にわたってヒト第4染色体と相同性のあることが明らかとなった。
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